UEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)のハイライト10選

UEFA欧州選手権(EURO・ユーロ)
著作者:master1305/出典:Freepik

2021年6月11日(金)から2021年7月11日(日)に開催されたUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)。
PK戦の末にロンドンでの地元開催のイングランドを決勝で破ったイタリアが、
UEFA欧州選手権1968(EURO・ユーロ1968)以来53年ぶりにアンリ・ドロネー杯を掲げて幕を閉じた。

UEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)では多くのゴールが生まれ、
手に汗握る攻防でヨーロッパだけでなく世界中を魅了し、感動的なシーンも数多くありました。

そんなUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)を象徴するハイライト10選をご紹介します。

新型コロナウィルスが猛威を振るう中1年遅れで開催され、世界に改めてスポーツ・サッカーの素晴らしさを届ける

2020年に開催予定であったUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)は、
新型コロナウイルスのパンデミックにより1年間延期することが2020年3月に決定しました。

2019-2020シーズンのヨーロッパ各国のリーグ戦は新型コロナウィルスの影響で約3か月の中断期間があったことで2020-2021シーズンはほぼ夏季休暇がない状態でシーズンに入り、
シーズン終了後すぐにUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)の開幕となるため今までにないタイトなスケジュールでの開催となりました。

選手の疲労を考慮した5人の交代枠はUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)でも継続して実施されることになり、スタジアムへの入場規制もされた中での開幕を迎えました。

1年越しでも開催もあってヨーロッパはもちろん世界中で大いに盛り上がり、
特に決勝戦は3億2800万人が視聴し、大会を通してで見ると52億人が視聴されていました。

試合中にデンマーク代表クリスティアン・エリクセンが心肺停止に。その後デンマーク代表は一致団結しベスト4となる大躍進

グループAデンマーク対フィンランドの前半42分に悲劇は起きてしまいました。

スローインを受けに行ったデンマークのクリスティアン・エリクセンが突然倒れてしまいました。
異変に気が付いた選手と主審はすぐに医療スタッフを呼びます。

ピッチ上で治療が行われる中クリスティアン・エリクセンは心肺停止状態になってしまいます。
誰もが固唾を飲んで見守る中、デンマークイレブンは涙を浮かべながら治療をしている姿をカメラや会場から覆い隠すように円で囲っていました。

ピッチ上での迅速な対応もあって一命を取り留め搬送された病院で安定された、
試合中断から約1時間30分後に試合は再開されます。

試合再開後検討するも惜しくもフィンランド代表に1点を奪われて敗れてしまいます。

5日後の続く第2戦ベルギー戦の前には、
クリスティアン・エリクセンの背番号10番の大きなユニフォームがピッチに現れ、さらに背番号にちなんで前半10分には試合を中断しスタジアムにいる観客や両チームがクリスティアン・エリクセンの回復を祈る拍手を送る感動的なシーンもありました。

また、勝ち越しゴールを決めたベルギー代表のケビン・デブライネは敬意を表し喜びを露わにしませんでした。

2連敗と崖っぷちのデンマーク代表はグループ第3戦でロシアを4対1で退け大逆転での決勝トーナメント進出を決め、
ウェールズ、チェコを破り準決勝でイングランドに敗れてしまいましたがベスト4まで勝ち進むという、
UEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)最大のサプライズとなりました。

全力国歌斉唱がイタリア代表のUEFA欧州選手権(EURO・ユーロ)優勝へ53年振りに導く

2018年FIFAワールドカップ ロシア大会出場を逃してしまい以前のようなスター選手も決して多くはなかったイタリア代表ですが、
ロベルト・マンチーニ監督率いるチームはUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)を27戦無敗の状態で開幕を迎え、
1935年10月から1939年7月まで4年間無敗を続けたヴィットリオ・ポッツォが率いたイタリア代表の30戦無敗の記録超えも期待されていました。

2006年FIFAワールドカップ ドイツ大会以来お馴染みの情熱あふれる全力国歌斉唱は今大会でも健在。

イタリアでは新型コロナウィルスで400万人が感染し、13万人が亡くなった。
長い間外出制限が続く中、自宅バルコニーで歌を歌って励まし合っていた中の一つが国歌でした。

イタリア代表ベテランサイドバックのアレッサンドロ・フロレンツィは「俺たちにとって国歌はただの歌じゃない。情熱の証なんだ」と語っています。
最も盛り上がるイタリア国家の最後の部分は「イタリアが望めば我々には死ぬ用意がある!イタリアが呼んでいる!」「SI(そうだ!)」と叫んで終わる。

誰が出場しても変わらない質のサッカーをするイタリア代表は素晴らしいチームワークを軸に、
危なげない戦いでグループA3連勝で決勝トーナメントに進出しました。

決勝トーナメントに入ると、
オーストリア代表、ベルギー代表と苦戦するも何とか1点差で勝利すると、準決勝では強豪スペイン戦は1対1でPK戦にもつれ込むも何とか勝利。

決勝は1966年FIFAワールドカップ イングランド大会55年振りの自国開催での国際主要大会優勝を目指すイングランド代表。

イングランド代表に早い時間に先制点を許すも、
レオナルド・ボヌッチの同点ゴールで追い付き、同点のまま迎えたPK戦を制して優勝を勝ち取った。
無敗記録は34試合まで伸ばして大会を締めくくった。

イングランドのフーリガン再び

イタリア代表の優勝でUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)は華々しい大会となった一方、
サッカーの悪い面も出てしまいました。

55年振りの主要国際大会優勝、地元での決勝戦開催と何としても決勝に進んで優勝を勝ち取りたかったイングランドサポーターは準決勝のデンマーク戦、決勝のイタリア戦と相次いで問題行動を起こしてしまいました。

準決勝デンマーク戦では試合前のデンマーク国歌斉唱の際に一部のサポーターがブーイングを浴びせ、
決勝ゴールに繋がったハリー・ケインのPKの際にはデンマーク代表ゴールキーパーカスパー・シュマイケルの顔にレーザーポインターを照射する行為が見られました。

決勝のイタリア戦では、チケットを持たないサポーターが警察や警備員を振り切ってスタジアムに乱入し、試合中でのピッチへの乱入する場面もありました。
街中での暴行や破壊行為も数多く見られました。
試合前には準決勝デンマーク戦に続き、イタリア代表の国会斉唱へのブーイングも起きていました。

さらに決勝のPK戦でゴールを外してしまった選手に対する人種差別発言やSNSでの誹謗中傷なども起きていました。

もちろんこれらの問題行動を起こすサポーターはごく一部であり大部分は善良なサポーターではありますが、
そのごく一部のサポーターの行為が過去数十年以上に渡って繰り返されるサッカーの闇の部分がまだ残っていることを露呈してしまいました。

スイス代表の今大会屈指のジャイアントキリング

グループA第1戦でウェールズ代表と引分け、第2戦では強豪イタリア代表に完敗。
勝ち点1で迎えた第3戦にトルコ代表に3対1で勝利するとグループリーグ3位で辛くも決勝トーナメント進出を決めました。

決勝トーナメント1回戦では2018年FIFAワールドカップ ロシア大会で力を見せ付けて優勝したフランス代表と対戦します。

フランス代表は大会直前での負傷離脱者はいましたが、大エースカリム・ベンゼマの代表復帰もあり優勝候補筆頭として死の組グループFを無敗で勝ち上がっていました。

戦前の予想でもフランス代表が圧倒的有利な中、
スイス代表はハリス・セフェロヴィッチの2試合連続ゴールで先制点を挙げるも後半75分にはフランス代表ポール・ポグバの素晴らしいミドルシュートで1対3と2点差に広げられてしまい、
勝負あったと思われましたがスイス代表はまだ諦めていませんでした。

後半81分に再びハリス・セフェロヴィッチのゴールで1点差に詰め寄ると、ロスタイムに入った後半90分。
マリオ・ガヴラノヴィッチの土壇場での同点ゴールが生まれます。

その後の延長戦では決着がつかずPK戦までもつれ込みますが、見事PK戦を制してフランス代表を破りベスト8進出を決めました。

準々決勝では強豪スペイン代表とぶつかり、
圧倒的に攻め込まれ、退場者も出す中スイス代表ゴールキーパーのヤン・ゾマーの大活躍もあり同点のままPK戦に突入しますが、
PK戦の末惜しくも敗れてしまいました。

劇的な展開も相まって、
UEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)屈指のジャイアントキリングを起こしたスイス代表はベルト8で夢途絶えてしまいました。

あらゆる記録を更新し続けるポルトガル代表クリスティアーノ・ロナウド

クラブチームでも数々の記録を更新し続けるポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドは、
UEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)大会でも3つの記録を更新し、1つの記録に並びました。

1つ目は、
UEFA欧州選手権(EURO・ユーロ)とFIFAワールドカップの異なる国際主要大会での合計得点数が、
元ドイツ代表FWミロスラフ・クローゼの19得点と並んでいたがUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)大会で5得点を挙げて、合計24得点となり単独での最多得点数となりました。

2つ目は、
UEFA欧州選手権(EURO・ユーロ)の得点数は元フランス代表ミシェル・プラティニの9得点とタイ記録でしたが、
UEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)大会初戦のハンガリー戦の1得点で単独首位となり、その後4得点を決めて合計で14得点まで記録を伸ばしました。

3つ目は、
UEFA欧州選手権2012(EURO・ユーロ2012)で大会得点王を獲得していましたが、
過去UEFA欧州選手権(EURO・ユーロ)で2回得点王を獲得した選手はいませんでした。
ポルトガル代表クリスティアーノ・ロナウドはUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)で5得点を挙げて、チェコ代表パトリック・シックと並び大会得点を獲得したことで2大会での得点王獲得の偉業を達成しました。

また、
UEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)の5得点で代表チームにおける得点者である元イラン代表FWアリ・ダエイの109点得点に並びました。
その後の2021年9月1日のFIFAワールドカップ カタール大会の欧州予選グループA第4節アイルランド代表戦で2得点を挙げて代表最多得点数の単独首位となっています。

ベテラン勢の活躍光る

UEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)大会ではスペイン代表ペドリを筆頭に、イングランド代表ブカヨ・サカ、ベルギー代表ジェレミー・ドクなど10代の選手の活躍も目立ちましたが、
それ以上に30歳以上のベテラン選手の活躍が光った大会でした。

優勝したイタリア代表では決勝戦で同点ゴールを決めたレオナルド・ボヌッチ(34歳)と共に最終ラインを統率していたキャプテンのジョルジョ・キエッリーニ(36歳)、
衰え知らずで代表通算得点数最多タイとなったポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド(36歳)、長い間一緒にプレーしているペペ(36歳)、
いぶし銀の活躍のクロアチア代表ルカ・モドリッチ(35歳)、デンマーク代表の大躍進を支えたカスパー・シュマイケル(34歳)、初出場初ゴールを記録した北マケドニア代表の英雄ゴラン・パンデフ(37歳)など、
ベテランならではの素晴らしい活躍を見せてくれました。

ドイツ代表アントニオ・リュディガー噛み付き事件

2014年FIFAワールドカップ ブラジル大会で一躍有名になった噛み付き男ウルグアイ代表ルイス・スアレスを彷彿とさせる、
噛み付き事件がUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)大会のピッチ上でも起きていました。

グループF第1戦ドイツ対フランスの前半終了間際、
密着マークを付いていたドイツ代表アントニオ・リュディガーがフランス代表ポール・ポグバの背中をガブリ。

2014年FIFAワールドカップ ブラジル大会のウルグアイ代表ルイス・スアレスはレッドカードで退場となりその後4か月の出場停止処分を受けたが、
UEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)大会でのドイツ代表アントニオ・リュディガーはおとがめなしでした。

リレーのように繋がれるコカ・コーラ会見ネタ

ピッチ上では各国が熱い熱い戦いを繰り広げる中、
UEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)出場チームの監督や選手の記者会見では別の話題で盛り上がっていました。

2021年6月14日のグループF第1戦ハンガー戦を前にした記者会見にて、
ポルトガル代表クリスティアーノ・ロナウドが目の前にあったUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)大会のトップスポンサーのコカ・コーラの2本のボトルを掴み横に追いやり、
ポルトガル語で『água(水)』と言いながら水を掲げ目の前に置きました。

どのような意図があったのかはわかりませんが、
クリスティアーノ・ロナウドは食事にも細心の注意を払っており糖分の多い食べ物を避けてアルコールや炭酸飲料は飲まないと以前インタビューに答えているので、
『私はコカ・コーラより水を飲む』というアピールだったのかもしれません。

その直後、コカ・コーラの株価は下がり時価総額は約40億ドル(約4424億円)下落しました。

翌15日にはフランス代表のポール・ポグバが記者会見に登場すると、
これまたUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)大会の公式スポンサーであったノンアルコールビールのハイネケンのボトルを机の下に撤去しました。

ウクライナ代表アンドリー・ヤルモレンコは17日のグループC第2戦で自ら得点を挙げて北アイルランドに2対1で勝った直後の記者会見で、
コカ・コーラやハイネケンを良く見える位置に置いて『僕はここに置く。電話待ってます!』と満面の笑顔でアピールしました。

決勝トーナメント1回戦で優勝候補フランス代表をPK戦の末破るというUEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)大会最大のジャイアントキリングを達成したスイス代表グラニト・ジャカは、
PK戦の前に各選手水で水分補給をする中、話題のコカ・コーラを飲んでいるところを捉えられました。

何かと話題になったコカ・コーラとハイネケンですが、最後はイングランド代表との決勝戦で同点ゴールを決めてマン・オブザ・マッチを獲得したイタリア代表のレオナルド・ボヌッチが締めます。

UEFA欧州選手権2020(EURO・ユーロ2020)大会優勝を勝ち取った後の記者会見で、
コカ・コーラとハイネケンのボトルを持って現れたレオナルド・ボヌッチは席に着くとすぐにコカ・コーラとハイネケンをゴクリ。

詰め掛けた記者達にに『今夜はなんだって飲む。全部飲むよ』と言い放ち、スポンサーいじりの最後をジョークで飾りました。

多過ぎるオウンゴール。過去UEFA欧州選手権(EURO・ユーロ)での合計のオウンゴール数を1大会で上回る

開幕戦のグループA第1戦イタリア代表対トルコ代表の大会初ゴールがオウンゴールでスタートします。

10得点あるオウンゴールの中でも、スロバキア代表GKマルティン・ドゥブラフカのスパイクオウンゴールや、スペイン代表GKウナイ・シモンの45メートルバックパスオウンゴールなど印象に残るオウンゴールもあり、
さらにポルトガル代表は1試合で2つのオウンゴールというUEFA欧州選手権(EURO・ユーロ)大会初の不名誉な記録まで作ってしまいました。

実はオウンゴールの多さは2018年FIFAワールドカップ ロシア大会でも12得点がオウンゴールで生まれ、
もちろんFIFAワールドカップ史上最多数を記録しています。


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